まずWEB 3.0で重要になるキーワードは“活動のデータ化”です。
対してこれまでのWEB 1.0、2.0で重要だったのは“思考のデータ化”でした。
自分の頭の中にある思考をWEBサイトでテキスト化したりSNSにログとして残していました。WEB 2.0に至ってはSNS内の情報に自分の反応(いいね!)を残すこともできるようになりましたが、それらは全て自分の頭の中で考えたことをデータ化していたのです。
先ほどのAIチャットボットもオペレーターの活動ではないのか?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、オペレーターの回答は活動ではなくオペレーターの頭の中の思考をテキスト化したものですから技術的にはWEB 1.0や2.0の要素技術を用いてシステム化することが適切です。
では活動のデータ化とは何か?
それは文字通り活動そのものをデータ化(シナリオ化)することです。Aの状況になったらBをする、と言ったようなAをトリガーに行われるような活動BをAIに学習させて自動化するのです。
オペレーターの例もお客様から質問CがきたらDと回答する、と言うようにフローに落とすと似ているためとてもわかりづらく適切なユースケースを導き出すのは非常に難しいのですが、違いは前述した思考のデータ化なのか活動そのものなのか、と言う部分です。
ここを事前に見極めずにAIに取り組むとPoC地獄に陥ります。(笑)
活動のデータをシナリオ化できるとすれば、例えば住宅関連ですと以下のようなものでしょうか。
・外から帰ってきたら鍵を開ける
・部屋に入ったら鍵を閉める
・暗くなったらシャッターを閉める 等々
これらは人の活動がモノと連動するような活動ですので、AIカメラやセンサー等を使えば本人かもしれないことは高い確率でAIが認識可能ですので、住宅設備側にそのような機能を実装すれば一連の活動を自動化できます。
しかしこう言ったことが実現可能であったとしても住宅設備側が最先端の情報通信技術について来れません。
住宅設備然りハードウェアの改修には相当なコストと時間がかかります。住宅設備事業者が不慣れな領域に足を突っ込んで事業崩壊するリスクを考えると誰もやりたがるわけがなく戦略的に考えてもやらない方が正解なのです。
ではどのように進めるべきか。まずは既存の製品には手を加えずに、既存システムのルールの上にAIを適用させたWEB 3.0の製品を生み出していくことがとても重要になります。
最近は後付け可能なスマートロック製品が出始めていますが、カードやスマホをかざしたりして入室するものが主流だと思います。
ここまではWEB 2.0の技術でできてしまいますが、例えばこれらを自動化する場合には認証機能としてAIカメラ等のWEB 3.0の要素技術が必要になってくるのです。
この考え方は近年企業の中でバズワードになっているDX(デジタルトランスフォーメーション)についても同じことが言えます。
先ほどの入退室の例で考えるとDXの一貫として社員のAI顔認証による入退室自動化も検討できますが、AIの誤認識を許容する必要が出てきます。
企業にとってはDXも大事ですが不正侵入させないためのセキュリティの担保も非常に重要なことです。
しかしAIの誤認識と自動化による効率化はトレードオフの関係であり、AIが誤認識した場合のバックアッププランが作れるか、作れなければセキュリティに目を瞑るか、きっぱりDXを諦めるか、この辺りのジレンマを拭えないことが企業DXが進まない大きな理由です。
そうなるとAIの誤認識を許容できて活動をシナリオ化できるようなシーンってそんなにありますか?
なかなか出てこないですよねぇ。(笑)
先ほど書いた通りWEB 3.0の要素技術を用いた適切なシナリオを導き出すのは非常に難しいのです。
では当社においてはどのようにWEB 3.0の活用シナリオを検討したのか。
次回はそこから始めたいと思います。
(次回につづく)
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