当社においてどのようにWEB 3.0の活用シナリオを検討したのか。
それは既存システムのルールの上にまったく新しいライフスタイルのシナリオを乗せてみたと言うことです。
人は音楽を聴きますが、聴きたい時に聴きたいデバイスで聴きたい音楽を聴くと思います。
これは聴くと言う行為です。
一方、音楽にはBGMのようにどこからともなく聴こえると言うものもあります。近年ですとオシャレなシェア型のオフィスなんかでは常時音楽が流れていたりしますが、BGMは人が聴こうとして流した音楽ではなく流すことで場の空気を変えて仕事中の集中力を高めたり、レストランに来客された方の気分を高揚させて会話を弾ませ美味しく食事を摂ってもらう等の効果が期待できます。
ビジネスシーンには昔からあったものを住宅内の暮らしの中に持ってきたものが当社が開発しているAIスピーカーになります。
シルクロードが栄えたとおり、あるものをないところに持っていくのはビジネスの基本ですよね。
しかし住宅内でBGMを流すには一般的なオフィスBGMと違ってAIが必要になります。何故なら家の中には色々と音が邪魔になるシーンがあるからです。
それらの邪魔なシーンを判別するところにAIが役立つのです。
そして当社では音楽が邪魔にならないタイミングで人がBGMを流すまでのシナリオ(活動のデータ化)を作り、そこに必要となるデータをAIに学習させています。
現在プロトタイプを運用させていますが、一日中住宅の中でスピーカーを操作することなく勝手にBGMが流れてくる生活を送ったことがある人はそうそういないと思います。
起きるとクラシックが流れていたらホテルのロビーのようですし、お茶の時はカフェ気分でボサノバでも良いかもしれません。夜お酒飲むときはBarのようにジャズでも良いかもしれませんね。
また常にBGMが流れていると不思議なもので家の中を片付けたくなります。オシャレな雰囲気に物が散らかった状態がどうも似つかわしくないのです。
BGMとだけ聞くとたったそれだけのことに聞こえるかもしれませんが、これを自動化するだけで生活の雰囲気はまったく変わりますし、流しっぱなしでよかったビジネスシーンとは異なり家庭でそれを実現しようとすると様々な障害があるのです。そしてそれらを判別することに長けたツールがWEB 3.0の要素技術なのです。
ところで活動のデータ化は最終的に何をもたらすのでしょうか。
それはひと言で言うと、単純作業(活動)からの解放です。
スイッチを押したりマウスをクリックするような既存の単純作業をAIが代替することで生活や仕事の中に様々なイノベーションが必ず生まれます。
重要なのはAIで置き換えるものは思考ではなく活動であることです。
また今のWEB 3.0の要素技術を使ったサービスはどちらかと言うとこれまで人がやってきた活動をいかに置き換えるか、と言う視点で語られることが多いと思います。
しかしこれでは新しい体験というには至りませんよね。イノベーションには必ず新しい体験が伴います。
たったAIによる単純作業の置き換えだけでもちょっとした発想の転換で、これまでの暮らしや働くシーンの中で当たり前だと思っていたことや想像さえしなかったことが、次から次に必ず生まれてくるはずなのです。
しかし悩ましいのは単純作業からの解放がどのような価値をもたらしてくれるのかについては、体験してみないとほとんどの人はそれがどういうことなのかわからないと言うことです。
体験させるということ、それはつまり概念実証(PoC)としての必要最低限の(とは言ってもそれ相応の機能は備える必要がある)プロトタイプ開発が必須となるということです。
資本力のある企業であればある程度の投資もできるかもしれません。しかし先述したようにある程度の企業規模になれば規制や制度面での推進のしにくさや既存事業を逸脱した新領域への本当の意味での挑戦はできません。
最先端技術の活用と言う誰でもできる意思決定と華やかなプレスリリースの後は地に足つかないコンセプト実現に向けて悪魔の証明と戦う現場への責任転嫁が続くことでしょう。
やはり変えていくのはやるべきことを自分達で決めることができるスタートアップしかないのです。
しかし反対にスタートアップには資本力がないため、プロトタイプ開発一つ取ってもハードルが非常に高くユーザー体験のフィージビリティテストまで至ることも相当に難しいものです。
このことも世界中でWEB 3.0をいまいちスケールさせられない大きな理由の一つであると考えています。
さて当社の羅針盤は活動のシナリオ化(見える化)とソフトやハードを用いた置き換え(自動化)を指し示していますが、それが正解か否かは現時点では誰にもわかりません。
しかしどの時代の転換期も同じですが、前人未到の領域においては世界中のスタートアップが独自の仮説で導く地図を持って正解が出るまで倒れない限り突き進むしか方法がないのです。
さてここまでWEB 3.0の時代への当社のスタンスを記載してきました。
次回はもう少し先の未来のWEB 4.0について当社がどう描いているのかについて書いておきておきたいと思います。
(次回につづく)
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