先日試作品を紹介した際にも触れましたが、試作品のAIスピーカーは3Dプリンターで製作しております。
3Dプリンターと言ってもいくつか種類があり、その中でもFDMと呼ばれる熱溶解積層方式(Fused Deposition Modeling)を用いて製作しました。
3Dプリンターの歴史は古く、その始まりは1970年代からとも言われています。個人向けの利用が進み出したのはFDM法の基本特許の保護期間が終了を機に価格が低廉化した2010年頃ぐらいからですが同時に産業界での利用も拡大してきました。
しかし3Dプリンターは、実行したいタイミングで造形できるその利便性から試作や趣味の用途での活用は進んでいますが最終製品となるとあまり姿を見ることはありません。
航空機を含む重工業における産業機器のパーツとしては一部最終製品としての活用が進んでいるとは言われていますが、個人向けの家電製造などの領域はまだまだ金型による量産化が一般的です。
当社ではその理由の確認も含めて3Dプリンターの可能性について研究すべく、今回SLAと呼ばれる光造形方式(Stereolithography Apparatus)の3Dプリンターを導入しました。
SLAはFDMに比べて洗浄などの手間はかかるものの積層痕が目立たず綺麗にプリントできると言われております。
洗浄や二次硬化と呼ばれる紫外線による硬化プロセスが中途半端になると表面がざらついたりしますが確かに綺麗に印刷できます。
この3Dプリンター当社視点でのメリットとして、スタートアップならではの弱みを補ってくれる可能性があると考えています。
スタートアップはどうしても資金力が乏しく、且つ当社のようなプロダクトアウトな製品をリリースしたい会社としては最初から大量生産して売れずに失敗してしまうと、いきなりクライマックス一巻の終わりです。
特にスタートアップに求められる事業及び製品に関するピボットを繰り返しながら徐々に良くしていくという点においては、ソフトウェアは多少のコストでいくらでも書き換えが可能ですが、金型によるハードウェア製造の場合は多少のコストで作り直しが効きません。
筐体の外部デザインの練り直しはもちろんですが、中の部品の在庫切れやメーカー保守切れになった場合は部材そのものを変更する必要があり、筐体の内部デザインにも手を入れる必要が出てきます。
そのような時にピボットを効かせやすくCADデータさえあればいつでも設計変更可能な3Dプリンターによる製品化メソッドがあれば護身できると考えているのです。
最終製品に求めるクオリティと上述したメリットのバランスが取れるか否かを検証しながら、当社でも3Dプリンターの活用を前向きに検討していきたいと考えております。
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